親が倒れて入院した…。お医者さんの話ではこのまま介護が必要な状態になってしまうかもって…。何をどうすれば良いのやら。
急な病気だと、パニックになってしまいますよね。私も病院で医療ソーシャルワーカーとして働いていた時には、そういった相談をよく受けました。一つずつ整理して行きましょう!
親が介護を必要とする状態になった時、子が想うこと
親の介護が必要になる時期は突然やってくることが多く、何から手をつければ良いのか不安に感じる方も少なくありません。意識状態によっては、介護のみならず財産管理や死後の対応まで考えなくてはならないこともあります。しかし、「親の金銭管理がどうなっているのかわからない」「何がどこにあるのかさっぱり…。」というお話もよく伺います。
ただでさえパニックになっているところに、今後の介護のことを考えるのは非常に苦しいものです。事前に介護について把握しておくと、いざとなった時に落ち着いて考えられる可能性が高まります。「まだ親は元気だから大丈夫!」と考えず、一度本記事を読んでみてください。
また、すでに親の介護が必要になり情報を集めている方にも役立てる記事になっていますので、ぜひ参考にしてみてください!
ステップ①現状を把握する
急病の場合は家族も混乱していて医師の説明を理解できていないこともあります。今後のことを考える上で、身体的な情報を知ることはとても重要です。もしも十分に理解できていないと感じる場合には、再度説明をお願いしましょう。
- 今の状態はいつまで続くのか
- 今後はどのような状態になることが予想されるのか
ということを中心に話を聴き、情報を整理しましょう。
現状把握が必要なのは身体的なことだけではありません。親の家のことやお金のことも大切です。金銭管理はどうなっていたのか、病前はどのような生活をしていたのかも情報整理をしておきましょう。
ステップ②家族で話し合いをする
情報が集まったら、家族内で情報を共有しましょう。慌ただしい日々の中で「伝えたつもりだった。」ということがあります。情報の共有がきちんとされていないと、のちに「聞いてない。これでは介護できない。」というように介護分担の問題に発展することもあります。このようにならないためにも、情報共有をきちんと行いましょう。
情報を共有したら、病前の親の希望の確認や実際の介護分担について相談します。介護については、知識のない方たちだけで相談しても話が進まない可能性があります。必要に応じて、第三者に相談したり、場合によっては専門家に話し合いに入ってもらうなどして相談を進めて行きましょう。
次の節で相談先について紹介していきます。
ステップ③相談先を把握する
患者さんやご家族に意外と多いのが、問題を自分たちで抱えてしまいこみがちということです。理由としては「家族のことだから他所様に話すのは気が引ける。」「単純にバタバタしていて意図せず相談していない形になっていた(相談する発想に行きつかないほど混乱している)。」「相談先がわからなかった。」などさまざまです。
いずれの理由にしても、介護問題を当事者やご家族だけで対応するのはかなり苦しくなります。実際に抱え込んだ結果、高齢者虐待につながることもあります。「何から相談したら良いのか…。」という状況でも、プロは対応してくれます。遠慮せず相談していきましょう!相談先の一例を以下にまとめました。
- 医療ソーシャルワーカー
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病院の規模にもよりますが、相談室にソーシャルワーカーがいます。医師とも連携できるため、身体的な現状を共有した上で適切なアドバイスをくれます。福祉制度の紹介や退院先の情報提供、病院外の関係者(行政やケアマネジャー)との連携も可能です。親が病院に入院していて退院後の介護について色々と迷う場合、まず最初に相談してみても良いかもしれません。適切な制度や関係機関に繋げてもらえるでしょう。
- 地域包括支援センター
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地域包括支援センターは、高齢者やその家族を支援するための相談窓口です。介護、福祉、医療など幅広いサービスの情報提供や相談対応を行い、地域で安心して暮らせるよう支援します。保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーといった専門スタッフが配置されています。地域ごとに設置されており、無料で利用可能です。
- ケアマネジャー
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ケアマネジャー(介護支援専門員)は、要介護者が適切な介護サービスを受けられるように支援する専門職です。介護保険の利用手続きから、個々のニーズに合わせたケアプランの作成まで、総合的にサポートします。介護を必要とする方とサービス提供者との橋渡しを行い、安心して在宅生活が送れるように調整します。
ケアマネジャーは介護を必要とする「要介護」の認定を受けてから担当となります。もしも親が急病で倒れるなどして入院し、まだ介護認定を受けていないという段階であれば、最初は医療ソーシャルワーカーや地域包括支援センターの担当者に相談しておき、介護認定を受けてからケアマネジャーに橋渡ししてもらう流れになります。
ステップ④介護保険制度について知る
介護保険制度は、市区町村が運営する公的な制度です。65歳以上の方が第一号被保険者となっており、40歳〜64歳で特定疾病に当てはまる方が対象となります。
この「特定疾病って何?」
定められた16の病気のどれかに当てはまり、介護を必要とする状態と判定されればサービスが受けられます。病気の内容は市区町村が発行している介護保険のパンフレットや前節で紹介した相談先に聞いてみると確認できますよ。
制度を利用するためには、市区町村に申請を行います。これについても事前に医療ソーシャルワーカーや地域包括支援センターに相談しておくと流れがわかりやすくてスムーズです。
申請後は、医師の意見書と聞き取り調査によって要介護度が決定します。介護度は、要支援1・2、要介護1〜5の7段階と非該当があります。要介護5が一番重たい状態です。
要支援1・2の方は地域包括センターが、要介護の方はケアマネジャーのいる居宅介護支援事業所が担当になります。その後、担当者と相談しながら、介護度に合わせたサービスを利用していく流れになります。
介護が必要になったら、とにかく専門家に相談を!
ここまで本記事を読んでいただけたら、随所に第三者や専門家に相談することを促してあると感じられるかと思います。
私が医療ソーシャルワーカーとして働いていた頃、「何から相談したら良いかわからないけど、とりあえず来ました」と言う方が多くいました。この場合はその時点から制度やサービスの情報提供を行い、こちらもフォローができるため、適切な時期に適切なサービスに繋がりやすかったと感じます。
反対に、自分たちで一生懸命考えているのにも関わらず、家族内だけで話をとどめてしまい、最終的にどうしたら良いのかわからなくなって相談に来られる方もいました。そうするとサービス開始までに時間を要するだけでなく、悩んでいた間の家族の心理的負担も大きくなり、介護が始まる前から疲弊してしまうことに繋がりかねません。
自分たちだけで抱え込まず、上手く専門家を活用していきましょう!
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