一人っ子だから親の入院に備えたい!話す内容や切り出し方のポイント

ひとりっ狐

昨日の夜、友達のお母さんが急に倒れて入院したんだ。うちもそうなったらどうしよう…私は一人っ子だし、本当に困っちゃう。

かわい

そうだよね。私も一人っ子だから気持ちはわかるよ。いざという時のために備えておかなきゃと思うよね。社会福祉士としても、よくそのような相談を受けたよ。

ひとりっ狐

「やらなきゃ」って気持ちばかり焦って、何からしたら良いかわからないよ。

かわい

そうしたら今回は、一人っ子が親と急な入院時について準備するためのポイントを紹介するね。

目次

親の入院に備えて事前に把握しておきたい情報

親が急に入院すると慌ただしい状況になるでしょう。もしも親が意思疎通困難な状態になってしまった場合、そこから情報収集することは困難を極めます。

私が医療ソーシャルワーカーをしていた頃、緊急入院した方の家族から「何がどこにあるのかわからず困っている」という相談をよく受けました。

一人っ子の場合、親のことを任せられる場面も多いかもしれません。一人で問題を抱え込まないようにするためには、事前に親と情報共有しておくことがとても大切です。

親の緊急入院に備え、最低限確認しておいた方が良いことをお伝えします。

必需品の保管場所

何がどこにしまってあるのかを把握します。入院した場合を想定するのであれば、入院に必要な物の確認から始めましょう。以下は一例ですが、必要となる物をリストアップしました。

  • 保険証
  • マイナンバーカード
  • 公費負担医療受給者証
  • お薬手帳
  • 常備薬
  • 診察券
  • 携帯電話や充電器
  • 寝具など日用品

保険証やマイナンバーカード、お薬手帳など医療に必要なものを中心に確認を進められると良いですね。

金銭管理の状況

親の入院への備えにおいて、金銭管理について知ることは重要です。

医療費や退院後の生活で何かとお金が必要になります。また転院や施設入所をすることになれば、そこでも費用がかかってきます。

預貯金や生命保険の確認のほか、通帳やクレジットカード、印鑑などの保管場所なども確認しておきましょう。余裕があれば証券や借金についても把握できれば安心できます。

医療や介護への希望

急な病気や大きな怪我の場合、多くのケースが急性期病院という救急治療を目的とした病院への入院となります。

しかし急性期病院は長期に入院できる病院ではないため、ある程度の治療が終わった段階で次の病院や施設を紹介されたり、自宅へ退院することになります。

親がどのような生活を望んでいるのか事前に把握することで、入院後の話し合いがスムーズになります。

また、治療の過程で延命治療について医師から相談があるかもしれません。親の意識がない場合は、子どもに答えを求められることもあります。この場合でも事前に親の希望を把握できていれば、子どもが一人で悩むことは防げるでしょう。

親の入院に備えて相談する時の切り出し方3選!

「一人っ子なのだから、親に何かあった時のために早く備えておかないと…」と気持ちばかり焦るけれど、何から話したら良いのか悩むことはありませんか?親子関係によっては、「あなたが病気で倒れた時の話をしたい」という話題は切り出しづらいかもしれません。

葬儀社紹介サービスを提供する「株式会社エス・エム・エス」が2022年におこなった「親の終活に関する意識調査」によると、親と終活について話したことがない人は67.7%であり、話さない理由の1位は「切り出しにくい・話しにくい(44.8%)でした。

私が病院で医療ソーシャルワーカーとして勤務していた頃にも、親が緊急入院してから「親と相談しておくべきだったけど、何から話したら良いのかわからなかった」という声をよく耳にしました。

こういった「何から話したら…」の迷いに役立つ切り出し方をご紹介します。

最近の様子から聞き始める

いきなり核心をつかず、「最近どう?」「体調は崩してない?」など親を気遣う会話から広げていきます。場合によっては自分の最近の様子も伝えてみても良いかもしれません。そうすることで双方間のコミュニケーションとなり、一方的に「聞き出している」という雰囲気を避けられます。

体調以外の面でもどのような生活リズムで、よく行く場所はどこかといった日常生活に関する話題から始めるのも良いでしょう。

物の保管場所から話を広げる

「通院や入院で支援が必要になって、お薬手帳の保管場所を把握していないと困るから教えて」など、最低限必要な物の場所を把握しておきたい意を伝えるのも一つです。私が医療ソーシャルワーカーをしていた頃、実際にお薬手帳をきっかけとして貴重品の保管場所まで把握したというエピソードを伺ったことがあります。

いきなり「通帳どこ?」「いくら入ってる?」といった金銭管理に関する話題は振りづらいかもしれません。ですが、通院や入院に必要なお薬手帳や保険証の場所を把握しておきたい旨を伝えることは、前者に比べて質問に対するハードルが下がるのではないでしょうか。

知人の例を出し、話題をふる

身近な方の話を例に出し、緊急入院時について親子間で話されていないと困る内容を共有します。身近な例がなければ有名人のエピソードを挙げても良いでしょう。

実際に親の終活を経験された方が実体験をまとめてKindleなどで本を出版しています。そういったものを読み、実例を伝えてみても良いかもしれません。

実体験をもとに「何に」「どのように」困るのかを具体的に共有することで、話し合いへの意識を高められます。

一人っ子が親と入院時の準備をするメリット

一人っ子の場合、他の親族の支援状況にもよりますが、事前に親と情報共有できていないとさまざまな場面で対応に苦しむことになります。

慌ただしい日常の中で慣れない対応をしていくことは精神的負担になりますが、事前準備ができていれば少し負担が軽減されます。

本章では、このような事前に備えるメリットを医療ソーシャルワーカーの経験も踏まえてお伝えします。

急な事態に順序立てて対応できる

私が医療ソーシャルワーカーをしていた頃、入院した方の家族から「必需品の場所がわからず探すのに苦労している」という声をよく耳にしました。また退院後の生活の場を決めるよう医師から言われているが、親の金銭管理について把握できておらず、施設入所の費用を捻出できるかわからないといった相談もありました。

親が入院した場合、周囲から次の決定を促される場面が多々出てくると思われます。事前に親子間で情報共有されていれば、慌ただしい状況の中でも比較的冷静に対応していくことが可能となります。

意思決定の重責を一人で抱えずに済む

例えば親が意思疎通できなくなってしまった際、周囲から親の代理で物事を決めるよう言われることがあるかもしれません。病気の場合には、医師から延命治療や退院後の生活の場所を決定するよう促されることがあります。

そのような重大な意思決定をする際、兄弟がいれば話し合うことができたり、なかなか答えが出なくてもなんとか妥協点を見出したりできるかもしれません。

しかし一人っ子の場合、他に相談できる親族がいなければ一人で背負わなくてはいけなくなります。なんとか答えを出せたとしても、一人で決めた場合「あれで良かったのか」と後悔の念に駆られるかもしれません。

事前に親に意思を確認しており、「延命治療はしたくない」「最後は施設を考えている」など把握ができておれば、一人っ子が一人で悩むことや責任を感じることを防ぐことができます。

精神的負担の軽減

一人っ子の場合、ただでさえ「一人で親のことをなんとかしなければ」と抱え込みがちになってしまうのではないでしょうか。そんなプレッシャーの中、上記したような急な事態への対応や意思決定への重責が重なれば精神的に参ってしまいます。

親の終活について把握し、情報を整理しておくことや事前にできる準備をしておくことは、子どもの精神衛生的に非常に良いことです。

親にもしものことがあった時の自分を守るためにも、親と終活について共有しておきましょう。

一人っ子の自分を守るためにも親と事前の備えを

親が急に入院した場合に備えるために必要な確認事項や話の切り出し方、事前準備のメリットを紹介しました。あらかじめ備えることにより、漠然とした不安から解放されることで、一人っ子が抱えるストレスも少しは減るのではないでしょうか。

また、一人っ子は「私がなんとかせねば」と思いがちですが、医療・介護現場には専門家がおり、相談をしたり支援を受けたりすることも可能です。一人で抱え込まず適切な場所に相談することも検討しましょう。

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この記事を書いた人

「一人っ子」として育ってきた社会福祉士です。約10年間、大病院にてソーシャルワーカーとして勤務し、老後の生活や親の介護・終活の相談に対応してきました。そんな中「一人っ子の自分は親の亡き後に困り果てるのでは…」と怯えて情報収集をするようになりました。親の介護や終活に悩む方に少しでも有益になる情報をお届けできれば幸いです。

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